iPhone 3G、夜明けの表参道

iPhone 3Gが発売されて、今日で一週間。
僕はあのソフトバンク表参道店の大行列に並んだ一人である。
いくぶん遅くなってしまったが、そのときのことをここに書き記そうと思う。

発売日から遡ること約一ヶ月。
WWDC2008がサンフランシスコで開催された。
その少し前に、iPhoneはソフトバンクからというニュースが駆け巡り、
あとはいつ発売なのか、というところに興味は集中していた。

そして、発売日が7月11日であることが発表された。
それを聞いて、真っ先に7月11日に有給をとった。
自分としては半分冗談、半分本気といったつもりだった。

そして7月10日。
7月に入ってからというもの、
どうやら夏風邪にやられてしまったらしく、
ずっと体調が悪い状態が続いていた。
たぐいにもれず、7月10日も調子が悪かった。

仕事を19時前に終わらせ、
いったん都内の家に引き返した。
もうぐったりだった。
ネットニュースを見ると、
18時頃には原宿駅を越えているということだったこともあり、
正直、もう並ぶのはやめて、明日の朝にひとけのなさそうな
ソフトバンクショップに行けばいいや、とさえ考えていた。

それでもなんとか原宿駅に向かったのは、
これがただのケータイの行列以上の、何か特別なものを感じたからだった。

行列の最後尾にたどり着いた頃には、時計の針は22時をさしていた。
夜通し行列に並ぶのなんか、生まれて初めてだったので、
何を準備していけばいいかなんてわからなかった。
とりあえずフル充電したiPod classicとtouchを持っていった。
が、結局先日レンタルしてきた「ベクシル」を観るに留まった。

高校のときの友人が、2chを見ながら夜通し「オタコン」をしてくれていたので、
もっぱらその友人と連絡を取り続けていた。

しばらくすると、孫正義社長が行列をまわってきた。
お疲れ様です、とか言いながら握手をしていた。
至近距離からハンディカムでビデオを取っておいた。
「オタコン」からそういう「通信」を受けたような気がしたからだ。

そこからがとてもとても長かった。
24時をまわるころまで、テレビの取材があちこちで行われていたが、
それが終わると、みんなもうぐったりしていた。

7月とはいえ、夜明け前ともなると、
半袖一枚ではとても冷えた。
長袖のシャツを持ってきておいたのは正解だった。

朝6時ころ、友人の「オタコン」が始発で来てくれた。
「冷やかしに」なんて言っていたが、とても励みになった。

だんだんと日が昇り始め、
にわかに暖かく、暑くなってきた。
あとで知ったのだが、この日はとても暑い日だったらしい。
オールあけのくたびれた体に、熱い日差しが突き刺さった。

そして13時、ソフトバンク表参道点に入ることができた。
手続きに30分くらいがかかり、ついにiPhone 3Gが手に入った。
13時30分。並び始めてから15時間半も経っていた。

長かった。
もう二度とこんなことはしないと冗談半分で友人にもらしていたが、
10年20年経ったとき、この2008年7月11日という日はどんな風に思い返されるのか、
あるいは、まったく人々の記憶から消え去ってしまうのか。